変形性関節炎:軟骨が減って関節が痛む

変形性関節症は、加齢とともに関節の軟骨がすり減って痛みを起こす疾患です。軟骨は骨の表面を覆って滑らかな関節面を造り、骨同士がこすれ合うのを防ぎます。 軟骨が減って表面を覆いきれないと、骨同士がこすれ合って硬くり、骨の変形が起こります(図1-1)。


図1-1: 変形性関節症

軟骨はスポンジのような構造をしており、水分を豊富に含んでいます。軟骨には血管がほとんど存在しないため、主に栄養を関節液から受けています。関節液は軟骨への栄養補給だけでなく粘り気を持っており、この粘り気が機械油の役割を果たして軟骨の摩耗を防いでいます。関節液の粘り気はヒアルロン酸によるものですが、変形性関節症の関節液ではヒアルロン酸の濃度が低下するため粘り気を失い、軟骨が一層摩耗する現象が起きます。ヒアルロン酸の関節内注射を行うことで、関節液の粘り気が高まり、軟骨の摩耗を遅らせることができるのです。

変形性関節症は体重負荷のかかる下肢の関節、とくに股関節(変形性股関節症、図1-2)や膝関節(変形性膝関節症、図1-3)で多く見られますが、指先の関節が変形性するへバーデン結節(図1-4)も変形性関節症の一種です。

図1-2: 変形性股関節症

図1-3: 変形性膝関節症

図1-4: バーデン結節